王子様なんて (ページ12)

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ｶﾗﾝｺﾛﾝ♩

この前と同じ、可愛い音を鳴らすドアを通り抜けて
注文カウンターの方へ向かう。

〈いらっしゃいませ〜！あっ、この前の！〉

ジミンさんが、ミンジと私を交互に見ながら
あの時と全然変わらないキラキラスマイルで言う。

〈え！覚えてくれてたんですか！♡〉

ジミンさんの言葉に、ミンジは分かりやすく浮かれている。

私はというと、この前は確かにいたはずの
もう1人の姿が見えなくて、
柄にもなくキョロキョロと探してしまう。

〈あ、ジョングギ？？ジョングギ今友達のとこに
配達行ってて〜普段は配達とかしてないけど、テヒョンがうるさくて！もう少ししたら帰ってくると思うんだけど〉

と眉毛を下げながら、ごめんね〜なんて
聞いてもないのに事の詳細を一気に喋って、謝ってくる。

「あ、いや、この間のお礼というか、
ありがとうと伝えたかっただけです。手を煩わせてしまったので。〉

そうか、今日はいないということは
あのカフェラテは飲めないのか。

………残念。
そう、あのカフェラテが飲めないことが、残念なのだ。
決して彼がいないことに言っている訳ではない。