王子様なんて (ページ16)

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〈そうそう。あの子、キョロキョロしてグギのこと探しててさ〜。いないって分かったからか、メニュー見つめて何頼むかと思ったらオレンジジュースだって。グギいないから、カフェラテは頼めないなって思ったんだろうねえ〜。俺でも作ろうと思えば作れるのにね〜。本人はお礼が言いたかっただけって言ってたけど〉

ペラペラといつになくテンションが高く、
饒舌なヒョンの言葉に、トクンと心臓が音を立てる。
俺を探してた？？？？
わざわざお礼を言うために？
それともまたカフェラテを頼むため？

まあそんなことはどうでもいい。
今は目の前の注文をどうするか、だ。

『ヒョン、これ俺が持ってってもいい？』

オレンジジュースではなく、
あの日と同じミルクで作ったカフェラテをトレーにのせて、
あの日と同じ席に座る2人の元へ足を運ぶ。

『お待たせしました。』

俺が運んだことでかなり驚いているようだったが、
オレンジジュースがカフェラテに変わっていることに、
戸惑いながらも、前とは違って少し緩んだようなあの表情は、

俺だけに向けられたものである、と思いたい。