王子様なんて (ページ7)

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時計の長い針は12時を指している。

お昼の休憩時間になった私達は、
ミンジが言ってた最近出来たらしいカフェを目指す。

カフェは大通りから中の方に入ったところで、
こんな所でやるなんて本当に客が集まるのだろうかと心配になるくらい閑静なところにあった。

ｶﾗﾝｺﾛﾝ♩

〈いらっしゃいませ〜〉

『…いらっしゃいませ』

可愛いベルの音を鳴らしながら中に入ると、
空席こそチラホラとありはするが、先ほどの心配はご無用というかのように女性客で溢れていた。

〈もしかしてここは初めてですか？？〉

レジに立っている、笑うと目がなくなるどことなく癒し系の雰囲気の店員がミンジに声をかける。

表には2人。今ミンジに声をかけた店員と無表情で黙々とコーヒーを入れている店員。

確かにいくらイケメンに興味のない私でも、認めざるを得ないぐらい2人とも顔が整っている。

〈そうなんです〜。イケメンがやってるって聞いて、職場が近くなので一度来てみたくて。今日やっと来れました♡ﾌﾌ〉

なんて、乙女モードのミンジを横目に
何を頼もうかなとメニューに目を通す。

〈私、クリームパスタとアイスコーヒーで、Aは？〉

「んーチキンドリアとアイスカフェラテ。」

〈Aまだコーヒー飲めなかったっけ？〉

なんてこちらに聞きながらも、以上で♡と、店員に乙女スマイルで言うミンジ。

そう、私はこの歳になってもコーヒーがあまり好きではない。
口の中に残る苦味がなんとも言えない感覚になる。

正直カフェラテでもギリギリのラインで、
本当はココアとかオレンジジュースとかその辺が良いのだが、
こういうおしゃれなカフェに来るとついつい見栄を張ってしまうのが悪い癖。

まだココアとかオレンジジュースよりはカフェラテの方が大人の女性っぽいでしょ？

だなんて、心で思いながら席に着く。