王子様なんて (ページ9)

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〈JKside〉

〈いらっしゃいませ〜〉

『…いらっしゃいませ』

店のドアの音で声を出したジミニヒョンにつられて
ワンテンポ遅れて声に出す。

またヒョン目当ての女かな。
なんて、入り口をチラッと見てみる。

綺麗系と可愛い系の対象的な2人組で、
あまり見ない顔だな、俺と同い年くらいかな、
だなんて、俺らしくないがそんなことを思ったりした。

1人は俺の顔を見たり、ジミニヒョンの顔を見たり、
嬉々としながら歩いてくる。

ああ、顔が良いイケメンがカフェやってる、
そんな噂でやってきたパターンだな。
とすぐに察する。

もう1人は、
仕方なく付いてきた、とでも言うかの様に、
なんだか気怠げで、
俺は愚か、ジミニヒョンにすら視線を向けない。

ただじっとメニューを見つめている。

女性客では珍しいその雰囲気に気がとられる感じがしたが、注文は溜まっている訳で。

黙々といつも通りコーヒーを淹れていく。

〈Aまだコーヒー飲めなかったっけ？〉

なんて言葉に、作業をしながらチラッとレジの方を見ると、
どうやら先ほどの気怠げな女性の方が、コーヒーが苦手らしい。

見た目は結構落ち着いた女性なのに、
案外こどもっぽいんだな、
うちのカフェラテ、結構エスプレッソ強いけど大丈夫かよ。
なんて、思いながら作業を進める。

ふと、試作品を作った時に使った、
まだ店では出してない甘めのミルクが冷蔵庫に残っていることを思い出した。