隣にいたのは (ページ2)

今日:36 hit、昨日:42 hit、合計:6,474 hit

2 ページ2

子猫を抱きしめて、辺りを見渡すとそこは全然見覚えのない公園。
いつも母と行っている公園とは遊具も広さも何もかも違う。

帰ろうとしても、ずっと子猫ばかり追っていたせいで、
辿ってきた道を全く覚えていない。

日はだんだんオレンジ色に染まり、夜を迎える準備をしている。

気持ちが焦るばかりで、3歳の私はまだ自分で解決策を見つけることは難しかった。

周りが暗くなっていき、とうとう泣き出してしまった。

約束を破って、出てきたせいだ。
ちゃんとお家に居とけば良かった。

そんな時

『……どうした？』

隣に住んでいる男の子が、友達と遊んだ帰りなのか、
ボールを持って、たまたま通りかかったのだ。

いつもは母と挨拶するだけで、そんなに接点がある訳ではなかったが、
見たことのある子が暗くなる時間に1人で泣いているとなれば、いくら接点がないからと言って、声をかけずに素通り、とはいかなかったのだろう。

私は見覚えのあるその顔に、
知っている人がいる、ただそれだけですごく安心して、
もっと声をあげて泣いた。

泣いて全然喋れない私に、

ゆっくり優しく話しかけてくれる男の子。

『……迷子？1人？？』

コクコク頷くだけで、状況を理解してくれたのか、
私の手を引っ張って歩き出すその子。

いつの間にか、私の腕から子猫はいなくなっていた。