episode.13 ページ13
.
翌週 、韓国へ帰国する防弾少年団の方々とセジンさんと一緒に空港へ。
機内ではセジンさんの隣へ腰かけ、離陸する光景を窓からボーッと見つめる。
「お兄さんには会ってきたの？」
『……いえ、タイミング合わなくて』
「そっか」
会えなかったことをセジンさんの方が寂しがってるようで、何だか少し笑けてしまう。
今回は本当にタイミング合わなかっただけなんで、そう付け加えれば「また会いに来よう」と優しく微笑んでくれる。
本当は、
兄に連絡なんかしてなくて、今どこで何をしているかも教えていないと言ったらセジンさんは私に呆れるのだろうか。
嫌われるかな。
いつの間にか飛行機は雲の上で、窓の外は一面青空とその下には白い雲が広がっている。
先週の天気が嘘のように、今日は晴れ晴れとしていて良かった。
きっと韓国は日本よりもっと寒いんだろうな、
耳にイヤホンをさし首元に顔をうずめ、また窓の外に目を移す。
ふと、視線を感じ前の席に目をやるとパッと逸らされる。
あの席は、確かテヒョンさんだ。
飛行機に乗る前、目が合うと仕切りに「ニーッ」と効果音を出しながら笑顔を見せられた。
笑えということかな、と笑って見せれば不満そうに先を歩くほかのメンバーの元へと行ってしまった。
そんな光景を見ていたのか、後ろからジンさんに「気にしないでね」と苦笑いをされた。
半年前から上手く笑えなくなったのは確か。
そんなに下手かな、と窓に薄く映る自分の顔を見ながら少し笑みを浮かべてみれば私かに引き攣ってる。
アイドルをすると決めたのにこんなんじゃダメだ、こんな笑顔じゃ人前に出られない。
耳から流れる心地好い音楽を聞きながら、目を閉じる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
