episode.15 ページ15
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【V side】
それから打ち合わせを中断し、ホテルに戻る帰りの車の中軽い処置をされたスノさんは、隣で先程と変わらない表情のまま眠っている。
「…ねえ、テヒョンア。スノさん息してるよね？」
「してるよ」
何度目か分からないジミナからの心配の声。
スノさんの顔を覗き込んでは「生きてる？」「起きた？」と落ち着かない。
セジニヒョンもバックミラー越しに、チラチラとスノさんの事を確認してる様子。
応急処置をされた、と言っても殴られたであろう頬は痛々しく、ガーゼをされている口元には血が滲んでいる。
良い点としては、女性スタッフの方に着替えさせてもらって、雨と泥でグチャグチャだった服は綺麗なものへと変わっている事くらい。
起きた後の彼女はヒョン達の言葉に愛想笑いを浮かべるだけで、セジニヒョンから聞いていた「明るく良く笑う子」とは程遠い印象だった。
聞いていた笑顔を見たくて、移動中の車内もその後帰国する飛行機に乗るまでも、試行錯誤してみたけど見せるのは下手くそな愛想笑いだけ。
せっかく出来た初めての後輩なのに仲良く出来なそう、だなんて考えて椅子の間から後ろの席に居るスノさんに目をやる。
窓の外に目をやる彼女。
メイクで隠したのか腫れが引いたのか、先週見た時と打って変わって真っ白な頬と幼さが残るその横顔。
特段綺麗な顔、って訳では無いと思う。
それでも何故だか目を逸らせなくて、視線に気付いた彼女がこちらに視線を向けたのでやっと、振り返っていた姿勢を正面に戻す。
「びっくりした、なに？」
「や…、別に」
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作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
