episode.28 ページ28
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【JK side】
交換条件を出すつもりはなかったけど、少しまだ不安そうな彼女に言った言葉。
それは前からやりたいなって思ってた事。
たまに口ずさむ彼女の歌声は高揚感を湧き立て、デビュー日を密かに待ちわびているのだから、彼女が芸能界に立つようになって初めてデュエットを組んで歌うのは絶対に自分がやりたい、そう思っていた。
『私と、ジョングクさんが？』
「うん」
「あ〜、スノのデビュー益々楽しみだなあ」
『でも、話し方とかまだ不安で』
「話し方がそんなに変なわけじゃないよ。現に他のメンバーも気付いてないでしょ」
『まあ、』
「不安が取り払えるように一緒に覚えようよ。時間がある限り俺も尽くすよ」
良いんですか？と顔を上げ、まるでお菓子を貰った幼い子供のように目を輝かせる。
そんな嬉しいもんかな、とも思ったけどそれだけ不安だったのか。
まだ16歳なのに知らない土地へ来て、先程見たノートは日本語と韓国語がびっしりと詰まっていて相当努力したんだろうな。
目の前の彼女の支えになれればいいな、と素直に思う。
「スノヤ、」
名前を呼べばテーブルに広がる自身の勉強セットを片付ける手を止め、顔を上げて首を傾げ俺から出る次の言葉を待つ。
「名前はなんて言うの？」
そう言えば一瞬考えた表情をした後に、言葉の意味を理解したスノが動揺したように"私の名前、"と小さくと呟く。
『私の名前は＿＿＿』
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作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
