episode.4 ページ4
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建物の角まで近付くと雨音に混ざって声が鮮明に聞こえてきて、姿が見えるとそこには韓国人の女の人と、恐らく日本人の男の人。
「
近くを通る人もこの大雨のせいか、下手に首を突っ込みたくないのか見て見ぬふり。
＿＿＿＿
『《あの、》』
私の口から出たのは、想像よりも数百倍小さくて雨が地面を打つ音で消え入りそうだった声だったが、しっかり二人には届いたみたいでこちらに目を向ける。
怪訝な顔で頭からつま先までジロっと見た男性は、鼻で笑いすぐに目の前の女性に視線を戻す。
掌に爪痕が残りそうなくらい力強く手を握り、深呼吸をする。
『《…あのっ！手を、離してください》』
次は聞こえるようハッキリそう言えば、はあっと大きな溜息をつき面倒臭そうにこちらに視線を戻す。
「《…なに？》」
『《その方、嫌がってますよね。手を離して、ください》』
「《いやいや(笑) 何か勘違いしているようだけど、俺ら普通に知り合い同士なの。勝手に勘違いして口出ししないでくんない？》」
『《知り合い…？》』
シッシッ、と手で払い男性は再度女性に視線を戻して「《ほら、いくぞ》」と腕を掴み連れて行こうとする。
「
「《はあ、うるせえな！早く行くぞ》」
＿＿＿＿
＿＿＿＿
キーーンと痛む頭と、ずっと頭の中で響く声。
気付けば彼らの元へ行き、女性を引く手を掴んでいた。
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作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
