episode.36 ページ36
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【TH side】
「ありがとうございます〜」
事務所近くのカフェでいちごミルクを買い、事務所へ向かう。
マスクを外し、ストローを口に入れて含めば甘い香りと共にいちごの味が口いっぱいに広がり幸せな気持ちになる。
うん。久しぶりに飲んだけど、やっぱり美味しい。
信号を渡りもう事務所が目の前、という所で一人不審な日を見つけ足を止める。
携帯片手にビルの外観を上から下まで見て、中に入ろうとしては足を止め元の位置に戻る。
そしてそれを繰り返す一人の男性。
なんだ、あの人。
関わらないのが吉か、中に入ったらセジニヒョンに話してみよう。
そう思い横を通り抜けようとすれば、ガシッと腕を捕まれ思わず持っていたいちごミルクを落としそうになってしまう。
恐る恐る振り向けばやっぱり、想像していた通り今まさに不審だと思って居た男性だ。
「あー…、何かありました？」
そう言えば腕を掴んだまま携帯を弄り出す男性。
画面を見せられそこに目を向ければ"この事務所の方ですか"と翻訳された文字が書いてある。
翻訳の前の文字は日本語、そうか日本人なのか。
「《ああ、はいはい、そうです》」
覚えたての日本語と一緒に頷けば、不安そうだった顔が一気にパアッと明るくなり何だかその表情に既視感を覚える。
「《あ〜、何か、ありましたか？》」
そう言っても返答が無く、その男性は困った顔に元通り。
今の日本語もしかして違ったかな。
そう思えば自身の携帯を差し出され、きっと表示されてる画面から察するに、ここに文字を打てって事なんだろう。
携帯を預かり"何かありましたか"と打てば、すぐに日本語訳が出る。
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作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
