episode.7 ページ7
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【SJ side】
「大変です！！！今外で…っ！！！」
スノを見送った後、メンバーとスタッフの方と軽く打ち合わせをしている最中に息を切らし、ドアを思い切り開けて入って来たのは別スタッフの方。
膝に手を当て、肩で息をする彼の只事では無い気迫。
話を聞くため「どうしました？」と聞けば､彼の口から出たのは思いも寄らない言葉。
___恐らく先程セジンさんと居た女の子がトラブルに巻き込まれたみたいで、
そこまで聞いて今度は俺が慌ててドアを開け、場所も聞かず外へ飛び出す。
__ しまった、場所を聞いておけばよかった。
そう思ったのは一瞬で、外に出れば人だかりが出来ていて直ぐにそこだと分かる。
「《すみません、すみません、》」
人だかりを謝りながら通り抜ければ、この大雨の中傘もささず地べたに座り込み俯く小さな女の子と、それに寄り添う女性。
「A！！！」
地面に手を着く彼女は俺の声に少しの反応を見せたが、そのまま俯きながら苦しそうに肩で息をし続ける。
目の前にしゃがみこみ、両頬に手を当て顔を上に向かせればヒュウヒュウ、と息を零しながら光の入っていない真っ黒な瞳を見せる。
この目を見るのは、半年前に一度見た以来だ。
「A、大丈夫だから。居るのは俺だよ、セジン、」
『ヒュッ…、セ、あ……』
焦点の合わなかった目が徐々に少しの光を灯し、目が合う。
と同時に目を閉じグッタリと体の力が抜け、倒れてしまいそうになる小さな体を抱き留める。
「あ、あの……この子は…」
Aに付き添っていてくれていた女性が心配そうに震えた声で尋ねてくる。
「…怪我はありませんか？」
「あ……私は全然…！この子のおかげで…」
「…近くに居て頂きありがとうございます。この子は後は僕が面倒見ます。この後スタッフが来ると思いますので、申し訳ないですが話はそちらでお願いします」
失礼します、とスノを抱え立ち上がり「え、あの」とまだ状況を把握出来てないままの彼女にお辞儀をしてその場を後にする。
息はあるはずなのに、目を閉じてピクリとも動かないスノはまるで死んでいるかのようで、どうしても動悸が激しくなる。
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作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
