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episode.9 ページ9
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＿＿＿＿
＿＿＿＿だいじょうぶ、ですか？
＿＿＿＿だいじょぶですよ、もう、僕がいます
どんな声色だったか忘れてしまったけど、とても落ち着く、そんな声だった気がする。
たどたどしく日本語を話すあの人は何度も「《だいじょうぶ》」そう言いながら背中をさすってくれた。
その手は優しくて、冷たい雨の中でも温かく感じた。
それでもあの時はパニックで、感謝の言葉も謝る事も出来ずにその場を逃げてしまった。
いつか会えたらその時は、お礼を沢山伝えられたらいいな。
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「あ、起きた」
そう声を出したのは、動けば触れてしまいそうなほど近くに顔がある彫刻のような綺麗な顔。
その近さに驚き、思わず仰け反れば後ろにいる何かにゴツッと音を立ててぶつかってしまう。
「い゛っ」
『痛っ』
それが人だと声を聞き気付き、慌てて振り返れば確か彼は、
ジョングクさんだ。
『あっ、すみません！』
「…いや、大丈夫です……」
こちらをチラッと見た後、ぶつかってしまったこめかみ辺りを擦りながらペコッとお辞儀をされる。
「…スノ、大丈夫か？」
その声の方向に目を向ければ、バックミラー越しに目が合うセジンさん。
どうやらここは車の中で、どこかに移動中のよう。
運転席に座るセジンさんはとても不安、動揺、そんな目を向けていて、先程起きた事を思い出す。
ああ、またセジンさんに凄く心配をかけてしまったんだ。
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作者名：MOA | 作成日時：2024年3月5日 16時
